進路指導 その1  親の一言が子どもを変える

前回 今の中学校で行っている進路指導は、進学指導であると言いました。
本人や親の意向もある程度は考えてくれてはいるが、実際には本人の学力で合格できる学校探しに終始しているのが実態ではないだろうか。
私は現職のころから、本当の進路指導は小学校からはじめるべきであると上司に言いつづけてきた。
小学校の一年生の時から、その子の特性について指導要録に記録しておき中学校に入学してからはさらにきめ細かくひとりひとりの子どもの興味や関心についてしっかり把握しそれに基づいた進学指導をやっていけば、高校中退 もかなり防げるのではないでしょうか。

私事をこのような場で紹介することは本意ではないのですが、私としてもっとも具体的にわかる事は自分の子どものことだけですから、あえて紹介させて頂きます。
私の息子が小学校6年生か中学校1年生の頃だったでしょうか、私が虫歯の痛みで一晩中苦しんだことがありました。
翌日、歯科医院で治療していただき、すっかり痛みもとれたので、なにげなく息子の前で独り言のように次のようなことを言いました。
「歯医者さんていいな。あんなに痛かった歯が歯医者さんのおかげで、すっかり治ってしまったよ。それにあんなに患者さんが来てくれるときっと収入も多いんだろうね」
これを聞いていた息子が「それじゃあ、僕が歯医者になってお父さんの歯を治してやるよ」
私はまさかその一言が本気とは思いませんでしたがその親のことを思ってくれた気持ちがとてもうれしかったことと、まさかこのことが現実になるとは夢にも思いませんでした。
息子は今、歯科医院を経営しています。世間の皆さんが考えるほど楽な仕事ではないようですが、息子が好きで選んだ仕事をじぶんなりに一生懸命やっている姿を見て、親としての進路指導は間違っていなかったと思います。
「子どもが一番好きなことを一生の仕事に選べるように援助してやる」私はこれが本当の「進路指導」と考えています。

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