我が子の進路について考える  その2

私が現職のころ「進路指導主任」という仕事に携わったことがある。
今になって考えると、ずいぶんおおそれた仕事を仰せつかったものである。
そのときは別に気にもとめずそれなりの仕事をしたつもりであったが、今にたなって考えてみると、「進学指導主任」だったのだ。
どちらも似たような言葉ではあるが、その中身はまったく違う。
そのころは業者テストがさかんに行われていた。中学三年生を対象にそれぞれの学校を会場にして、全県いっせいに模擬テストを実施して、その結果を、個人別に返してよこす。中学三年の担任はそのデータをもとに、どこの高校ならば合格の可能性があるかについて、保護者と本人の前で言い渡すのである。生徒本人にしてみれば、親の前で進学できる高校についての宣告を受ける最も過酷な瞬間だったに違いない。
それは正に進学指導であって、進路指導とはまったく別の仕事であった。
テストの結果で一人一人の生徒の進学する高校がほぼ決まってしまい、興味とか関心などといった進路にとって重要な要素はつけいる余地が無かった。
今では、その仕事は、学習塾がやっている。中学生をもつ親は、よりよい高校へ我が子を進学させるために競って塾に行かせる。最近ではその月謝もかなり高額になってきているが、どこの学習塾も盛況のようである。
しかし、塾のやっていることは、進学指導であって、進路指導ではないことを保護者の皆さんに知って欲しいと思う。かつて私がやっていた というより中学校でやっていた仕事を、塾が月謝をいただいてやっているのである。
それでは、本当の意味の進路指導という仕事は誰がいつやればよいのでしょうか。次回ではそのことについて考えてみたいと思います。

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