学歴劣等感

人は大なり小なり劣等感を持ちながら生きつづけているように思う。
この劣等感の持ち方や感じ方は、その人によって違いがあるが、特に今の世の中で「学歴」についての劣等感を持っている人は意外に多いと思う。
それは日本の社会が学歴によって人を評価する悪習があるからだ。
マスコミヲ賑わわす多くの事件の中でもこの学歴についての劣等感が原因となっているような事件も多い。
我が子の友達が有名校に合格したことに恨みを持った母親が、我が子の通う幼稚園のトイレの中でその友達を殺害し、自分の実家の裏庭に埋めてしまったというきわめて残忍な事件は、日本中の子を持つ親を震撼させた。
この事件ももとをただせば母親の学歴にこだわった劣等感が殺人という事件を引き起こしたものといえないだろうか。
今の社会では、多くの親が少しでも「良い学校」に我が子を進学させようとして塾に通わせている。
べつに塾について否定するわけではないけれど、良い学校にやることが、即子供の幸せという親の考えがその底に潜んではいないだろうか。
自分が果たせなかった夢を我が子で実現したいという親の気持ちもわからないではないが、このことは親の身勝手さと同時に、親自身の学歴に対する劣等感の表れに他ならない。
学校に「良い学校」とか「一流」は無いはずである。
大切なことは、その子の持っている能力を見出し、それを最大限引き出してやることが親の役目ではないだろうか。
学校というところは、親の見栄や夢を実現するためにやるところではない。
自分の学歴に引け目を感じ、我が子にそのしわ寄せを押し付けることは結果的に我が子を不幸にしてしまわないだろうか。
親の気持ちをくんで親の希望する高校に進学してみたものの子供自身の希望に合わなかったために退学をしてしまう生徒があまりにも多いことを知ってほしいと思う。
子供には必ずその子に備わった能力があるはずである。
その能力に合わせて我が子の進路を選択してやることが親の務めではないだろうか。
親の夢を子供で実現するのではなく、子供の夢を親が実現させてやることが大切なのだ。
親の心のどこかに潜んでいる学歴劣等感が、子供の将来をめちゃめちゃにしてしまわないよう願うものである。
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